期限の利益の喪失とは
期限の利益とは民法136条に規定されている債務者の利益を守るもので、期限が来るまでは債務の履行をしなくても良い、というものです。
住宅ローンを普通に返済できている限りはこの債務者の利益が守られています。
契約時において、債権者(銀行等)との合意により債務者が期限の利益を喪失する条件が契約書に付されます。これを期限の利益の喪失の特約といいます。
債務者が住宅ローンの支払いを返済期日までに支払えなくなった場合、期限の利益が喪失するなどの条件が付されます。この返済期日を過ぎることを「期限の利益を喪失した」といいます。ですから期限の利益喪失前には債権者は競売にかけることも任意売却を勧めることもできません。
期限の利益を喪失すると債務者は債権者より住宅ローンの残債の一括返済を請求されます。延滞した分ではなく債務の全部についての一括返済です。
つまり約束を破ったので契約を終わりにします。ついては全額を返してくださいということです。
銀行は期限の利益がなくなるとあなたの代わりに保証会社から債権の全額を回収します。従ってその後は保証会社が新たな債権者となります。ほとんどの場合抵当権者はこの保証会社になっているはずです。
保証会社は銀行と違い債権を回収するためだけに連絡をしてきます。従ってこの段階で分割払いや、支払いの猶予などの交渉は意味を成しません。
債権者は残債務を取立てる方法として、住宅を差押え、競売の申し立て等の強制執行をかけるわけですが、この期限の利益喪失通知の持つ意味は「これから競売手続きに入りますよ。任意売却を進めるなら今のうちですよ。」という意味合いが含まれています。
債権者としても競売手続きには登録免許税や予納金等で多額の費用がかかりますので、なるべく任意売却で回収出来ればそれに越したことはありません。
このタイミングを逃すと「競売開始決定通知」が届くことになります。